2022年7月15日金曜日

大正中期の品川用水路の植生

 鳥居龍蔵が主宰した「武蔵野會」の機関誌「武蔵野」(原書房/S46・復刻版)に、下記の報告文があるのを見つけた。

伊吹高峻「駒澤村の植物」(雑誌「武蔵野 Vol.2」武蔵野會/T07.10・刊 pp43-46 )

*全文は こちら

 文中、現桜新町~上馬あたりの用水路周囲の植生に触れているので、ここに抜粋することにした。

Photo_20220703233001

*文中"↓"は、引用者が補入した改行部を示す

品川用水も高臺の中央を流れ人工的堀割なるを以て岸高く兩岸僅かに羊歯の數種類あるのみ、又堤防に「にはとこ」の多き事注意すべし又トリアシショウマの白花を総生したるヤブクワンザウの炎ゆるが如き又目を引く岸の兩壁に羊歯類の外ゼニゴケジャゴケ等の膠着したる又スギゴケヘウタンゴケへ等あるも珍物に非ず、↓

用賀停留場…より世田谷に至る道を數丁にして品川用水を渡る、此邊は比較的種類に富み楢〔?〕 等の山林あ〔り〕↓ 

上馬向の臺地…殊に品川用水の畔に至らばヤマノイモヒメドコロヤブカラシ、等あリ又ミゾソバウナギツカミマヽコノシリヌグヒ 等の蓼科キツネノマゴホタルブクロ 、等を得べし、↓

旭橋にて大山街道に出て品川用水の右岸に従て下れば右に桂川水力電気の變壓所あり、 尚進めば 左に龍雲寺を見るに至る、二本松に至る間は畑地と竹林多く、南碑衾村と接する邊は土堤多く又等の山林行樹あり一般に陰濕にしてツボスミレタチツボスミレヒトリシヅカタビラコ等の可憐なる姿を見るべし林地にはキンランギンランオトキリサウカタバミヘビイチゴムラサキケマンヤブエンゴサク〔=ヤマエンゴサク〕、シホデジヤノヒゲスギゴケ等あり又山椒等の灌木あり採取の好適地たり